STORY
一人のクライマーがいた。
彼は人生の半ばで視力を失ったが、それでも世界の頂上を目指した。
一人のクライマーがいた。
彼は、視力を失ったクライマーと出会い、ともに世界の頂点を目指すことにした。
身体障害者がその頂点を目指し競うパラクライミング。世界中の選手がしのぎを
削るパラクライミング世界選手権で、2019年に4連覇を果たし、再び表彰台の
頂点に立った小林幸一郎。そして、視覚障害のあるクライマーにとって欠かせないナビゲーターとして共に競技に挑む、鈴木直也。
前人未到の偉業にも関わらず、パラクライミングへの注目度は低く、東京オリパラでも蚊帳の外。
パラクライミング普及のため、日本パラクライミング協会の会長職を引き受ける
ことにした2人であったが、資金難・スタッフ不足と悩みは尽きない。
それぞれNPO法人の代表、クライミングジムの経営者という顔も持ち、夢を追いかけてきたが、厳しい現実を思い知る日々を過ごしている…。
そんな中、鈴木は自身のクライミングの原点であるコロラド州、そしてユタ州の
砂岩へと小林を連れ出すことにした。
「なぜ、登るのか?」その答えを求め、2人の旅が始まる…
パラクライマーは、ロープをFigure8(8の字結び)で自らに結びつけ、パートナーにそのロープとともに命を委ね、岩を登り続ける。
そして人と人も、見えないロープで誰かとつながる運命を持っている…
この映画は壁に向き合い、壁と共に生きる、
2人のクライマーの魂の彷徨を描く、ドキュメンタリー映画です。
CAST & STAFF
小林幸一郎

1968年 東京生まれ
16歳の時にフリークライミングと出会う。28歳で「網膜色素変性症」という目の難病
が発覚し、将来失明すると宣告される。
2005年にNPO法人モンキーマジックを設立、「見えない壁だって越えられる」を
コンセプトに、フリークライミングの普及に努める。
競技者として2011年に世界クライミング選手権B2クラスで優勝。
2014年、2016年、2018年、2019年 世界パラクライミング選手権B1クラスで
優勝し、目下4連覇中。

鈴木直也
1976年 東京生まれ
15歳の時にアメリカでフリークライミングと出会い、その後単身で渡米。
その後アメリカ山岳ガイド協会の認定試験を受け、日本人初の協会公認
クライミングインストラクターとなる。
2011年から、パラクライミング世界選手権の日本代表チームに同行。
2013年には株式会社サンドストーンを設立。
国内外問わずクライミングガイドをしながらクライミングジムを
横浜と大阪で経営する。